【高台寺】寧々のお寺で桜はじめ

高台寺 波心庭 1 京都のお寺・神社 

今年、令和3年の桜の開花は、例年より1週間ほど早かったようです。京都でも、3月16日、開花の予想です。

さて、京都に見るべきものは多いですが、今年の桜初めは高台寺から、いかがですか?

高台寺は、慶長11年、1606年に豊臣秀吉の正室、寧々が祈願し、秀吉の菩提を弔うため、建てられました。秀吉の没後出家した寧々は、高台院の号を名乗っていたので、このお寺は「高台寺」となったのですね。晩年の寧々が、過ごした地でもあります。

塔頭として、北政所(寧々)の住居跡の永興院、木下家(秀吉の姓)の居館であった後の圓徳院があり、圓徳院は、ねねの道を挟んで、高台寺からすぐ、訪れることができます。

創建時からの建造物は「表門」(勅使門)「開山堂」「霊屋」「時雨亭」「傘亭」「観月台」で、いずれも国指定重要文化財です。
伏見城(晩年秀吉が過ごした京都、伏見の城)から移築してきた遺構として、「観月台」「傘亭」「時雨亭」があります。
また庭園は、国指定史跡・名勝庭園に指定されています。

 

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高台寺境内

高台寺

 

遺芳庵

敷地に入ってすぐ、出会うお茶室。吉野太夫を偲んで建てられたのだそう。

高台寺 遺芳庵

方丈、波心庭

高台寺 波心庭 1

大方丈・小方丈も、創建時に伏見城から移築され、狩野永徳、渡辺了慶、土佐光信などが描いた襖絵をはじめ、いたるところに蒔絵・彩色が施された豪華な建物であったそう。
しかし、江戸時代・近代に火災により焼失、現在の方丈は1912年に再建されたものです。現在、こちらに本尊、宝冠をつけた釈迦如来坐像が安置されています。

方丈から観られる波心庭には、立派な枝垂桜があります。今にも咲きそうな、膨らんだつぼみが、すでに色づいています。撮影は3月16日。

高台寺 波心庭 2

そして、白い庭石で描かれた雲間からは、波打つような龍の体が表現されていました。これは、疫病退散の願いを掛けてお寺が描いたものだそうです。

 

蓬莱式庭園(史跡・名勝)、観月台(重要文化財)

開山堂をはさみ、両側には二つの池を配した池泉回遊式庭園が広がります。西には伏見城の遺構である観月台を配した「鶴亀の庭」、東には開山堂と霊屋を結ぶ「臥竜廊」がかかります。

観月台の中央、あそこに座って、寧々は月を眺めたのでしょうか。

高台寺 観月台

開山堂(重要文化財)

創建当初は寧々の持仏堂でした。右手に延びているのが臥龍廊です。

高台寺 開山堂

緻密な彫刻、華麗な天井の彩色が残っています。

高台寺 開山堂 2

臥竜廊

高台寺 臥龍廊 1

高台寺 臥龍廊 2

このような高低差のある建物をつなぐ回廊を臥龍廊と呼びます。まさに、龍を連想させる、凛々しい建築です。

霊屋(おたまや)(重要文化財)

秀吉と寧々を祀る廟堂。須弥壇や中央厨子には華麗な蒔絵が施されています。内陣の全体、桃山時代の漆工芸が素晴らしい色で迎えてくれます。高台寺蒔絵とよばれます。
秀吉と寧々の木像も、桃山時代のもの。

 

高台寺 霊屋

傘亭・時雨亭(重要文化財)

伏見城から移設された茶室、傘亭と時雨亭。秀吉が利休と縁が深かったことはよく知られています。いずれも、利休好みの茶室なのだそう。質素でこじんまりと可愛らしい建物は桃山時代の、庶民の住居のイメージに近いのかな、と思います。内部から見ると屋根の張り方が確かに、傘のよう。小さな空間で、雨の音を聞きながらくつろいでお茶を楽しむ、なんとも素適です。

 

高台寺 傘亭

 

高台寺 傘亭 2

 

高台寺 時雨亭

高台寺には伏見城から移築してきた遺構として、「観月台」「傘亭」「時雨亭」がありました。
因みに、伏見城から移築された建造物としては、二条城の本丸の南西にあった、五重六階の天守(1750年落雷により焼失)や豊国神社の唐門(現存、国宝)、方広寺の鐘楼の天井画(現存、伏見城の化粧室の天井であったそう)など各所に点在しています。

 

勅使門(重要文化財)

太閤桐の紋が見えます。

高台寺 勅使門

 

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圓徳院

高台寺の塔頭のひとつ。まるで小さな美術館のようなお寺。各所で写真を撮りたくなります。

高台寺 圓徳院 1

 

高台寺 圓徳院 2

 

ねねは、天下人・秀吉の正室として、政治的にも動けた人物です。朝廷との交渉、徳川秀忠ら、諸大名の人質として集められた妻子の世話など、実務にも長けていたようです。
豊臣政権において大きな発言権と高い政治力をもっており、多くの大名が大阪城を訪れた際、ねねにも挨拶に出向いていたのです。秀吉の没後も、徳川家とねねの関係は良好であったよう。徳川の時代になっても、所領は許され、穏やかな晩年までを過ごしています。

ねねがここで起居し、お茶を楽しんだり、庭を眺め、過ごしていたことを、思い描きながらめぐってみてください。実際に彼女が触れたであろう遺構が残っているこの場所は、やさしい気配に満ちていて、お勧めのスポットです。

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