【日本の宗教②】「神道」を簡単におさらい!特徴と大事な用語3つ

下鴨神社 鳥居 京都のお寺・神社 
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神社、お寺、それぞれを説明ってできますか?今回は、以外と認識不足な日本の宗教文化の中から、「神道」について簡単におさらいしましょう。宗教としての分類と特徴、3つの用語の解説をしていきます。

神道の基本的な考え方、神社の成り立ちの記事→

【日本の宗教①】八百万の神様と祈りの形【懐の深い日本の神様】

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神道の特徴3つ

「民族宗教」である。

神道は「民族宗教」です。「民族宗教」は、「世界宗教」と対で使われる言葉。

「世界宗教」は民族・国籍・性別・社会階級に関係なく信仰される宗教のことです。仏教、イスラム教、キリスト教などですね。
対して「民族宗教」は、その民族の文化や固有の歴史と密接に関係して発生し、その民族の共同体としての利益を優先する宗教です。

自然への畏怖からスタートし、民族文化や固有の歴史と密接に関わっています。
現実世界での利益を目的とする傾向が強く、宗教的指導者と、政治・軍事面での指導者が重なるケースが多くあります。(神道においては歴史上の天皇が、まさにこれにあたりますね)

例えば、日本の「神道」を、他の国や民族に布教しようとしても、日本や日本民族を守っている神様を、他国や他民族の人が信じたり、祈ったりする意味は見いだせないですよね。

「経典」がない

他の宗教に存在する「経典」をはじめ、「世界観」「宇宙観」「未来観」「具体的な死後の世界」といった概念が存在しません。

「黄泉の国」の話は神話に描かれているが、人が死んだらどうなるか、という話ではありません。
よく日本人が連想する「地獄」は仏教が教えるものです。

「教義」や「戒律」がない

自然崇拝、祖先崇拝など多面的な信仰であり、統一した教義や戒律がありません。

神道には体系的な教義やまとまった経典はありませんが、重要な宗教的表現として「祭り」があります。

そのお祭りも、各神社で独自性の強いものも多くあります。

 

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神道独特の考え方3つ 「穢れ」「禊ぎ」「祓い」

穢れ(けがれ)

気枯れに由来。「気」とは霊や魂にあたります。その「気」が枯渇した状態を「穢れ」といい、
「穢れ」は犯罪の原因ともされました。人が罪を犯すのは、「気」が枯れたからであり、身を清めていれば罪を犯さずに済む、という考え方です。

「死穢」(しえ)
死、そのもの。死人がでた家は穢れを他人におよぼさぬよう、昔は外を出歩くことも禁じました。この「穢れ」の期間を「喪」(も)といいます。
今でも、家族に不幸があれば、「喪中」として年賀状を控えますよね。これは、「穢れ」をうつさないためなんですね。
「血穢」(けつえ)
女性の出産、生理期間。地方によっては、この間家族から離れて暮らすという風習が戦前まで残っていました。

穢れ、と言われてしまうと切ないですが、それだけ、出産にまつわる危険や死が多かったのでしょう。出産後や生理期間はしっかり休養が必要なもの。サポートさえあれば家族から離れていることは結果的に休養にもなったかもしれません。

人そのものが悪であるとか、罪深い存在である、という考えは他宗教ではよくみられます。
しかし「神道」では、「気」が枯れているときだけ人は悪い方向に行くのだととらえ、身を清めれば良い方向へ進める、と考えているんですね。

禊ぎ(みそぎ)

川の流れや滝の水、あるいは海水など冷たく清らかな水で身体を洗い清めることを「禊ぎ」といいます。

神社の境内に手水舎(てみずや)があり、手や口をすすぐのも、禊ぎの一種。

ハードなものに滝に打たれる滝行、水を浴びる水行などがあります。

「日本書紀」で伊邪那岐命が黄泉の国を国を訪れ、死の穢れに触れたとき、阿波岐原の河原で身を清めたというエピソードは、皆さん一度は聞いたことがあると思います。

祓い(はらい)

神主さんによるお祓いには、二つの種類があります。

「悪しの祓い」 穢れを清める
「善の祓い」 吉事を招く

招福も「祓い」で行うのですね。

個人的な「祓い」を受けることを「修祓」(しゅうぶつ)といいます。
神主さんが、竹や木の祓串に麻をつけて、左右に振って清めてくれるもので、穢れは麻に付着して体から離れると考えられています。

伊勢神宮をはじめ全国の神社では6月と12月に「大祓い」という行事が行われます。これは日本国土全ての穢れを清めるための行事だそうですよ。

あまり良くないことが、自分や身内に起こったり、それが現実的な対処法では収まらなかったとき、「お祓い」を受ようと考える人は、一定数いるのではないでしょうか。

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神道に由来する日本の年中行事

「初詣、正月飾り」

年の初めに神社にお参りすることを初詣と呼びますね。
お正月に飾る鏡餅、お屠蘇(おとそ)、お節(おせち)は本来神に供えるものです。神社で供える神饌(しんせん)と同じ意味なんですよ。
門松は農耕神「歳神」の依代(よりしろ)神様の宿るもの、として飾られます。

「ひな祭り」

3月3日のひな祭りは、もともと、紙で作った人形(ひとがた)を川に流し、穢れを祓う行事です。

「七夕」

7月7日の七夕は、中国の牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)の伝説と、日本古来の「棚機女(たなばたつめ)」の信仰が習合してできた行事です。

「お盆」

先祖をまつる日本土着の行事が、先崇拝を取り込んだ仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と習合して、墓参りや、読経を伴う仏教行事となりました。

その他の行事

その他にも、「初宮参り」(赤ちゃんを氏神様に参拝させる)、「七五三」「合格祈願」「成人式」「結婚式」「厄払い」などで、神社を訪れたことのある人は多いのではないでしょうか?

純粋に神道だけを由来とする文化としては、「お正月」「お祭り」あたりが、日本人誰もが関わりあるものかもしれません。

 

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日常に溶け込む日本の宗教

いかがでしたか?「それも、神道が由来だったんだ!」「意外と神道に関わる行事に自分も参加していたんだ!」そんな風に思っていただけたのではないでしょうか?

また、神道が仏教などと深く結びついてきた歴史から、もうどちらが由来と言っていいか分からない行事や文化もあります。これもまた、もともとの神道や日本人の柔軟性をよく表していますよね。

お正月の文化は、特に神道が由来としてはっきり分かるものです。しかし、門松が神様を呼ぶ「依代」だったなど、私は知らずに飾っていました。お節も母が作っていたから、作っていました。なんとなく、習慣だから、と行っていたことが民族のルーツをちゃんとたどっていたのですね。もちろん、知っていて、きちんと説明できる、そんな大人を目指したいところです。

皆様も、何気なく関わっている行事や習慣の由来を知って、ご友人やお子さんと共有してみてください。きっと鼻高々になれますよ!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献 「常識として知っておきたい 日本の三大宗教」 株式会社河出書房新社

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