【平家物語】 重盛の予見【アニメ4話】

椿  平家物語

栄華を極める平家一門の棟梁、平重盛。驕り高ぶる清盛や一門の者たちの中にあって、彼は特異な静謐さ、礼節を重んじる心を持ち続けました。このことは、『平家物語』では、構成上強調されたともとれますが、『愚管抄』などにも、「コノ小松内府ハイミジク心ウルハシクテ、父入道ガ謀反心アルト見テ、トク死ナバヤナド云フト聞エシニ」などと記述され、事実とほど遠い表現では無いようです。

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重盛の悪夢

重盛には、不思議な予知の力があったと、『平家物語』は語ります。

父・清盛を諫め、天子に対し盾突くような真似をするべきではないと、止めてきた重盛。天皇・皇族は神に準ずる存在と捉えられていた当時、どんなに理不尽と感じても超えてはならない一線が天子と臣下の間にはある、とされていました。清盛はそれを超えようとしており、重盛は、そんな父を止めるのは自身の役割であると考えていたのでしょう。

折しも、平家の圧政に対する不満・怨嗟の声は、地方からもあがり始めていました。

しかし、重盛は父を止める役割にも限界を感じ始めていたようです。

巻第三、「無文」より

巻第三 無文 1

巻第三 無文 2

訳文

この大臣は、生まれながらにして不思議な能力をもった人で、未来のことも前もって悟っておられたのであろうか。去る四月七日の夢に御覧になったことは、まことに不思議であった。その夢というのは、どことも知れぬ浜路をはるばると歩いて行かれたが、道の傍らに大きな鳥居があったので、
「あれはどこの鳥居であろうか」
と尋ねられると、
「春日大明神の御鳥居です」
と申した。そこに多くの人が群がっていた。そのなかに、法師の首が一つ、さしあげられた。
「さて、あの首は何者か」
と問われると、
「これは平家太政入道殿の御首を、悪行が超過なさったので、当社の大明神がお召しとりになったのです」
と申すうちに、夢がさめた。わが平家は、保元平治の乱以来、たびたび朝敵を平定し、その褒賞は身に余り、おそれ多くも天皇の御外戚として、一族の者は六十余人も昇進し、二十余年にわたって、その繁栄は言葉にあらわしようもないほどであったが、入道の悪行超過によって、一門の運命はもはや尽きようとしているのか、と過去のこと、将来のことをあれこれと思いつづけて、御涙にむせばれたのであった。

この時代、夢は未来の事実の前兆、と捉えられました。そして、神仏の加護というものも非常に重視されたのです。一門の権勢が急速に傾いていくことを、重盛は予見したのです。

今回はここまで。

平家の終焉だけでなく、自らの死をも予期していた重盛。彼の死に際しての行動や、その身に起こった不思議についても、次回、触れていきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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