平家物語は、謡うような文面で、平安末期の世へ私たちを誘ってくれます。
アニメ「平家物語」第一話で吟じられていた部分について、抜粋しています。
末尾には、平家の家系図を載せています。合わせてご覧ください。
巻第一「殿下乗合」
平家悪行のはじめ、とされたのは摂関家への報復
アニメ「平家物語」で、時折吟じられる原文からの抜粋。第一話、平家が栄華を極め、そのうちに奢るようになっていく様が分かる一節。
「平家物語」では、平家と摂関家の間に起こったこの一つの事件が、『世の乱れそめける根本』『平家の悪行のはじめ』としています。
発端は平資盛が、当時の摂政・基房に対し礼を忘れたことでした。平資盛(すけもり)は、平清盛の孫で、平重盛の子。
資盛(すけもり)が鷹狩りに行った帰り、参内途上の基房に行会い、下馬の礼をとらなかったために、恥辱を与えられてしまいます。
それを聞いて、資盛の父・重盛はこちらに非があったと捉え資盛をいさめます。このあたり、原文の通りアニメが忠実に重盛の姿勢も写し取っていましたね。
しかし、清盛は何やら考えが浮かんだよう。重盛に相談はせずに、ことを起こすのです。
黄色の部分はアニメで吟じられた部分です。
意訳
殿下、とは摂政・基房その人。摂政の一行を清盛は襲わせます。
もとはと言えば、礼儀を忘れた資盛がいけなかったこと。13歳と若く、連れていた共も若かったため、礼を失してしまったのです。それを辱める摂政(摂関家)も大人げないでしょうが、まさか数代前には殿上に上がることもできなかった平家に、このような報復をされようとは思っていなかったはずです。
アニメでの清盛の『面白かろう』というセリフ、原文を読んでいても頭に浮かびます。この事件で確かに彼は、一線を越えてしまったのです。
「平家物語」では、清盛のこの行動が『平家の悪行のはじめなれ』とされたのです。
後に、清盛や重盛なき平家を必死に盛り立てた資盛。幼少の頃の失敗は、若気の至りといったところでしょうか。アニメ「平家物語」10話の中では、びわに
「語り継ぎたい」
「ま、俺なんぞは登場しないだろうが」
「する、重盛も維盛も資盛も清経も、敦盛も、みな」
「そなたが登場するのは、殿下の乗合事件が最初であろうな。」
と宣言されていましたね。
幼少の資盛の些細な失敗は、基房と清盛の意地の張り合いで『平家悪行のはじめなれ』とあらわされる、清盛の暴挙のきっかけとなりました。
いかがでしたでしょうか。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考のために、平家の家系図も作成しました。参考に御覧下さい。図はクリックで拡大できます。
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